久留米大学研究者紹介
山田  圭の教育方法・教育実践に関する発表、講演等
年月日 概要
H20/7/25 第40回医学教育学会
H20/7/31~8/2 第20回久留米大学医学教育学会 参加
2018/11/10、11 シミュレーション基盤型教育セミナー Fun Sim J (琉球大学)修了
2018/4/~2019/3 現場で働く指導医のための医学教育学プログラムー基礎編―修了(京都大学)
2019/7/26 第51回日本医学教育学会 臨床検査学校における協同学習の効果 【目的】協同学習は学生の学習意欲や成績の向上に役立つと言われている。今回私たちは、臨床検査専門学校の講義に協同学習の手法を導入したので、その効果を検討した。 【方法】2年生の筋電図の講義(90分6コマ)で35人を8班に分け、TBLを基本とした協同学習を行った。講義前に課題を配布し、講義中に班別で議論したあと全体議論を行った。講義終了後にアンケートを行い、講義内容の興味、班内の議論の活発度、発表による意欲の向上、班に対する貢献度の自己評価を調査した。成績については、中間試験(穴埋め問題:20点満点)と期末試験(多肢選択問題:100点満点)を前年度(同じ教員による一方向講義)と比較した。 【結果】①アンケート:賛成と回答した割合は、講義内容の興味が100%、班内の議論の活発度が80%、発表による意欲の向上が100%であった。自己評価点は平均66点と高く、全体の発表回数は講義の前半が9回、後半が19回で増加した。②試験成績:期末試験は前年度が平均55点、今年度が平均47点で有意差はなかったが、中間試験は前年度が平均11点、今年度が14点で有意差があった。中間試験の点数は班内の議論が活発と答えた学生の方が高く、発表回数と強い関連があり、中間試験と期末試験の総合点数は自己評価点と弱い関連があった。 【結論】協同学習の導入によって講義内容の興味や学習意欲の向上とともに、穴埋め問題の試験成績の向上が認められた。今後は、多様な知識の解釈や応用が必要な医学生の講義にも協同学習の手法を導入し、講義への興味や学習意欲の向上と試験成績の改善を期待したい。
2019/7/26 (2) 第51回日本医学教育学会 Pre-Clinical Clerkship Exercise (臨床実習前プログラム)の作成とプログラム評価【はじめに】講義中心の学習から臨床実習へ進むと、学生は現場で知識や技術の点で困難に直面することが多い。そこでスムーズな臨床実習開始を目指したPre-Clinical Clerkship Exercise(PCCE)を作成し、プログラムの評価を行った。 【方法】医学部教員と4年から6年の学生で構成するPCCE委員会で、教員主導で考えたニーズを基に講義形式プログラム25項目、学生主導で考えたニーズをもとに手技に関するプログラムを7項目作成した。講義、実習修了後に学生、教員からアンケート調査を行った。学生のアンケートは5段階とし、教員は内容の工夫と学生に対する不満項目を調査した。 【結果】アンケートの回収率は、学生93.9%、教員83.5%であった。PCCE全体として68.4%は肯定的であったが、9%は否定的で、残りはどちらでもなかった。講義形式と手技で肯定的な回答をした学生の割合を比較すると、講義は①意欲的な参加、②内容の興味、③モチベーションの向上の3項目で平均66.9%、67.4%、63.6%で、手技では平均87.7%、86.3%、84.7%と実技で評価が高かった。講義形式で一方向性と双方向性で肯定的な割合を比較したが、あまり差を認めなかった。教員アンケートでは、講義では65%が臨床現場を想定、61%がスライドの工夫をし、実習では71%が臨床現場の想定、63%が学生とのコミュニケーション、54%ができたことをほめるという工夫をしていた。学生への不満は集中力、居眠りの2項目で有意に実習よりも講義の方で教員が述べていた(P=0.003,P=0.001)。 【結論】学生が実技の方が集中力も高く、評価の高さに反映された。講義は教員主導で内容を吟味したが、一方向性、双方向性にかかわらず実技よりも学生の評価が低いことから、学生に教員の考えるニーズが伝わっていないことが課題である。
2020/7 第52回日本医学教育学会(誌上発表) 臨床実習前演習(PCCE)に多職種連携教育(IPE)を導入した効果 【はじめに】前回、第4学年の共用試験CBT・OSCE合格後の臨床実習前に2週間かけて行う臨床実習前演習(Pre-Clinical Clerkship Exercise, PCCE)の内容と課題を報告したが、今回は、PCCEに新しく導入した(IPE)の成果を検討した。 【方法】2019年度のPCCEは、7日目に1日かけて多職種専門教育を行った。午前は医学科と看護学科の合同授業であり、医学生112人と看護学生39人を14班に分け、事例「多発性骨髄腫の高齢女性」について、議論するテーマを決めて議論の内容を発表させた。午後は職場訪問であり、大学病院で働く14職種を班別に訪問してインタビューを行い、PowerPointにまとめて全体で発表会を行った。学生のアンケートは午前と午後に分けて行い、授業に対する意欲・理解・興味や臨床実習への期待を調べた。 【結果】アンケート回収率は午前と午後で100人(89%)、51人(46%)であった。「意欲的に参加」は午前と午後で88人(88%)と46人(90%)、「内容に興味」は79人(79%)と40人(78%)、「臨床実習にむけてモチベーションを上げた」が68人(68%)と35人(69%)であった。午前では「医師と看護師で患者に対する異なる視点があると実感した」と多くの学生が述べていた。午後は「病院で働く様々な職種について学べた」「病院全体を意識しながら臨床実習に参加できそうである」という感想があった。 【結論】臨床実習直前のPCCEとIPEは、チーム医療や多職種連携の重要性を再認識する教育プログラムとして意義があり、特に、医学生と看護学生が合同で議論する事例検討や大学病院の職場訪問は、臨床実習に対するモチベーションの向上やStudent Doctorとしての自覚を促す機会になると考えられた。
2020/7 臨床検査専門学校における協同学習の効果(第2報)(誌上発表) 【目的】私たちは前回、臨床検査専門学校の授業に協同学習を導入して学習意欲と成績が向上したことを発表した。今回は、協同学習の何が学修意欲や成績の向上に関与したのか検討した。 【方法】2年生の筋電図の講義(90分6コマ)で48人を8班に分け、チーム基盤型学習(TBL)を基本とした協同学習を行った。講義前に予習シートを配布し、講義中に班別で議論したあと全体で議論した。 2回の中間試験(穴埋め問題)と期末試験(多肢選択問題)の正答率を、協同学習の導入前(2017年度)と導入後(2019年度)で比較した。なお、2017年度の中間試験は初めから2回行ったが、2019年度の中間試験は1回の予定が学生の希望で2回になった。 【結果】第1回中間試験・第2回中間試験・期末試験の平均点は、2017年度が40点・55点・55点、2019年度が60点・80点・59点であり、中間試験は2回とも有意差があり、期末試験は差がなかった。中間試験で2回目の点数が20点以上向上した学生(25人)と他の学生(18人)を比べると、期末試験の平均点は60点と57点で有意差があった(中間試験のいずれか欠席した5人は除外)。2019年度の期末試験について、講義後のアンケートで「講義中の班内の議論が活発だった」と回答した学生(4人)と他の学生(44人)を比べたが、平均点は60点と59点で差がなく、「講義中の発表で意欲が向上した」と回答した学生(44人)と「発表で意欲が低下した」と回答した学生(4人)を比べても、平均点は60点と53点で差がなかった。 【結論】臨床検査専門学校の筋電図の授業では、協同学習の導入で中間試験の成績が向上し、2回の中間試験における成績の向上が期末試験の成績の向上に関与することが明らかになった。また、協同学習で学生が自発的に受けた中間試験が期末試験の成績に影響することが示唆され、形成的評価の重要性が確認された。

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