久留米大学研究者紹介
原  頼子の教育内容・方法の工夫(授業評価等を含む)
年月日 概要
2003~2004/度 終末期看護実習における情意領域育成方法のための教育プログラムの検討  終末期実習において学生の看護観の構築と患者への共感性は密接に関連していると考え、情意領域の育成方法のための教育プログラムを検討した。   終末期看護実習終了後の評価得点と、学生の共感性得点との関係において、終末期看護観と死生観の構築との間に小さいながらも相関が見られた。このことより、学生は実際の体験やカンファレンスを通じて考えるアプローチが大切であることが示唆され、対象の死生観や人生観を受けとめるためのコミュニケーションの重要性が明らかになった。また、実習での体験は学生の死生観構築に対してよい影響をもたらしていた。  この結果は、川崎医療学会誌に論文投稿を行った。
2005/度 終末期患者の看護は、人間の尊厳性、いのちの大切さについて考え、看護を追及する重要な領域である。終末期実習において学生が死に対する理解と看護観の構築ができるように教育プログラムを検討している。内容としては、実習のまとめをグループワークで行い、事例の振り返りを理論に基づいて考察し、討論することで学びとして意識化させている。
2006/度 人間の尊厳性を基本とするターミナルケアは、看護の基本に通じるところである。また、人間の生と死に向き合わなければならないターミナルケアは、人間存在の根源を問いかける永遠のテーマでもある。安楽死や尊厳死の問題など医学・医療の特定の分野のみでなく、社会化されてきた国民的課題として幅広くとらえて理解していけるよう学習項目を設定し、人間の終末期に関して確固たる意見や考え方を持つことの重要性や、患者・家族がより適切な選択や意思決定ができるための総合的な援助について教授している。そのために、講義はもちろんであるが、3単位3週間の実習を行い、学生と共に終末期の患者のベッドサイドに立ち、患者にとって必要な援助について一緒に考え、技術が未熟な学生に指導しながらケアを行っている。PCU病棟の協力により、3週間のうちの2日は、PCU病棟実習が経験でき、学生の死生観や看護観構築に対して大変な影響がいただけていると考える。
2007/度 死について考える機会の少ない学生が、終末期患者のケアを行うに当たり、習得してほしいコミュニケーション手段として、受容、共感の姿勢ということが挙げられるが、その授業の一環として、SP(模擬患者)を導入している。終末期患者が全人的苦痛で苦しんでいるときの、患者との対応場面を実際に学生に経験してもらい、その場面を振り返ることで、終末期患者のケアを行う時に必要な看護を考えている。
2009/度 がん対策基本法が制定され、がんと診断された時から緩和ケアを提供することが言われてきている。そのため、緩和ケア病棟に限らず、いつでもどこでも誰にでも緩和ケアが提供できることが必要になる。そこで、授業においては、模擬患者への対応を通し、コミュニケーション能力の開発を図っている。また、本看護学科の臨地実習は集学的ながん治療が行なわれている大学病院での実習という恵まれた環境にある。そのメリットを活かし、学生の実践力の向上に繋がる態度の育成に努めている。
2010/度 成人看護学方法論Ⅲは、これから医療者となる学生が、死について考え、がん患者の緩和ケア、及び終末期ケアに対する知識を持つことが出来るように、丁寧に、また、学生の反応にも配慮しながら授業を進めた。また、終末期医療では特に、患者・家族とのコミュニケーションが大切となり、ケアの中心を占めるため、模擬患者を用いた実践のシュミレーションを演習として組み込み、学生の対応場面を振り返ることから技術を修得できるよう配慮した。 また、ターミナルケア論は、慢性終末期実習を終えた学生が、自分の実習体験を踏まえ、より高度な実践能力を磨くこと、また、様々な場面での対応が出来るような知識を提供できるよう配慮した。慢性終末期実習では、がん医療の最前線である、大学病院で実習できるメリットを活用し、がん治療中の患者・家族に学生の持てる力を最大限に発揮し、誠意を持ってケアが出来るよう技術の指導も組み込みながら、実践力が身につくような指導を行った。臨床での場面を教育に生かし、その時しか学べない有意義な経験を蓄積し、また、その都度患者への対応方法について細かく指導を行った。
2011/度 学部の3年生の療養生活支援論Ⅲにおいて、がん看護とのコミュニケーションスキルの向上をねらい、また、実習でも役立つように、模擬患者を取り入れた授業を行っている。また、終末期ケアの授業の中では、学部の教育にはまだ取り入れている大学は少ない中、エンゼルケアの講義や演習を行ない、学生には貴重な経験となったという評価を受けている。
2012/度 療養生活支援実習Ⅱ(慢性期実習)において、療養の場である自宅へ退院するために地域の様々な職種の人とつながりながら、療養環境を整えることの必要性を学ぶこと、また、外来において、自宅から病院に通院している患者を見ることを通し、療養の場における患者のイメージができるよう工夫している。 4年生の看護総合演習では、事例を用い、患者の情報から病態や治療を理解し、何が問題となるのかをアセスメントできること、またそこから見えてくる問題点について解決するための看護を計画し、科学的に系統だった実践(演習)を行うプログラムを実践した。また、その評価から、学生の課題を明確にし、常に看護技術の向上を目指す自主的な態度を育成している。 大学院臨床看護学群がん看護論「がん看護専門看護師教育課程」において、地域及び施設におけるがんの予防から終末期の緩和ケアまでの過程において、患者とその家族のニーズに応えられるよう専門的な知識、実践力を身につけ、さらにがん医療の現場においてがん看護のスペシャリストとしてその役割を果たせる人材の育成を行っている。
2013//度 4年生看護総合演習において、学生がより臨床の場のイメージができるように模擬患者を導入しての演習を取り入れた。模擬患者は、心不全の急性期患者という設定で、シナリオを作成し、学生による対応状況を観察した。学生は自分の対応場面を振り返る経験から、自分の技術の未熟さや、自分のコミュニケーションの傾向に気付くことができ、課題を見つけることにつながり、有意義であった。
2010/~2015 修士課程がん看護専門看護師教育課程では、在宅で暮らす患者・家族の実際を理解することを目的にがん看護学在宅実習を実施している。がん看護専門看護師による指導を受けながら、がん患者の療養過程の全体像をとらえ、生活調整に関するアセスメントを行い、在宅医療に関わる多職種との連携を通しがん看護専門看護師の役割を考えている。
2015~現在 学部4年生のがん看護学では、放射線療法、補完・代替療法(漢方薬)を組み込み、がん治療の最新知識に基づき看護を学べるようにしている。また、久留米大学病院で勤務するがん看護専門看護師の講義を入れることで、最先端の医療現場での実践をイメージできるように工夫している。
2019/~現在 慢性期疾患患者の理解と看護をイメージできるように、DVDにより知識や根拠づけをしっかり行い、実習での看護場面を振り返り、そこにある看護の意味を考える講義をしている。慢性期疾患やがんを患いながらよりよく生きること、自宅で自分らしく過ごすことができることを支えるために、地域と連携し、社会資源の活用や、個々に応じた支援について考えることができる学生を育成している。
2012~現在 大学院修士課程がん看護分野CNS養成コースの、がん緩和ケア地域連携教育論において、地域で暮らす患者・家族のグッドプラクティスに向けて、教育と医療の専門家からアプローチ法を学び、より良い多職種連携を考えることを教育目的としている。 内容は、協同学習の専門家から学びあうことを目的とした講義を展開して頂き、医療職が自ら学びあい、リーダーとして地域で実施する緩和ケアを支えるための方向性を追求している。次に、訪問看護ステーションで在宅看護を実践しているがん看護CNSを講師とし、様々な状況に置かれた利用者・家族への実践体験に基づく講義を企画している。

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